なぜ日本発のラグジュアリーブランドは育たないのか?

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こんにちは、伝統工芸品輸出支援アドバイザーの岩成です。今回は、「なぜ日本にはラグジュアリーブランドが育たないのか?」というテーマについて、私自身の経験を踏まえながら、深く掘り下げていきたいと思います。

私はバブル全盛期に世界一のアパレル企業「レナウングループ」で勤務し、さらに海外はイタリアでブランド開発にも携わった経験から、日本のものづくりと海外のブランド戦略の違いを肌で感じてきました。

ラグジュアリーブランドとは?具体的な例を挙げながら解説

ここで、ラグジュアリーブランドとは具体的にどのようなものなのか、いくつか例を挙げてみます。

  • 自動車: トヨタのような一般的なブランドに対し、フェラーリ・ポルシェのようなブランドがラグジュアリーブランドとして認識されています。

  • ファッション: ユニクロのようなブランドに対して、ヴィトン・エルメスなどがラグジュアリーブランドと認識されています。

このように、同じ商品カテゴリーでも、価格帯やターゲット層、ブランドイメージによって、その位置づけは大きく異なるのです。自動車・洋服ともに日本にはラグジュアリーブランドが極端に少ないのが現状です。

なぜ日本にはラグジュアリーブランドが少ないのか?3つの視点から考察

1.高度経済成長が生んだ、良いものを作れば売れるという考え方

高度経済成長期からバブル崩壊までの日本では、「良いものを作れば自然と売れる」という考え方が強く根付いていました。人口が増え続け、経済が右肩上がりの時代には、自己PRをしなくても、品質の良い商品は口コミで広がり、売れていったのです。

2. 言葉の壁がないことによるPR不足

日本国内は、共通の言語を持つ人々で構成されているため、商品の魅力を言葉で詳細に伝える必要があまりありませんでした。しかし、グローバル市場では、言語や文化が異なるため、商品の価値をしっかりと伝えるためのマーケティングやブランディングが不可欠です。

3. 自己主張を避ける奥ゆかしさという民族性

日本人は、自己主張を強くすることを好まず、奥ゆかしいことを美徳とする文化があります。これは、自己PRを積極的に行う海外の文化とは対照的であり、国際的なラグジュアリーブランドの育成において、障害となる可能性もあります。

古代ヨーロッパから読み解く、ラグジュアリーブランドのルーツ

自動車のラグジュアリーブランドのフェラーリやポルシェにはエンブレムに馬のマークが描かれています。アパレルのラグジュアリーブランドのエルメスやバーバリー・コーチには馬と馬車が描かれています。それは何故なのでしょうか?

 

ヨーロッパにおけるラグジュアリーブランドの歴史は、古代にまで遡ることができます。当時、貴族たちが馬車でお城に集まり、その馬車の豪華さや美しさを競い合っていたという歴史があります。

舞踏会に集まったお姫様は、嫁ぎ先を馬車で判断していたと言われます。「タキシードは誤魔化せても馬車は誤魔化しがきかない」その様なことわざもあるように馬車を複数所有することはステイタスでもありました。馬車を持つということは馬小屋、飼育係、餌台など年間数十億円(現代価格)が必要となります。

  • 馬車文化: その影響は、現代の自動車の名称にも残っており、美しいシルエットの馬車を作る職人が集まってきた歴史があります。

  • 上質な馬具と職人: 馬車を所有することは、良質な馬や馬具が必要となり、それらを製造する優秀な職人を抱えることを意味しました。

このような背景から、ラグジュアリーブランドは、単に高級な商品を販売するだけでなく、その背景にある歴史や文化、職人技術、そして顧客へストーリーを語ることで、その価値を高めてきたのです。

ヨーロッパでは自動車・洋服ともに数千年の歴史と文化的背景を有するのに対して、日本ではわずか100年の歴史しかありません。ですので当然ながら日本は相手の土俵で戦っているという事をきちんと認識する必要があるのです。

参考情報:自動車の形状は馬車の名称から生まれた?

下記のイラストの様にカブリオレ、クーペ、スパイダー(車輪の形状)セダン、バギーなどは馬車の名称から生まれたデザイン名です。なお、ロードスターは最も速い馬の呼び名だった様です。

欧米でブーム!「ジャパンディ」という新たな潮流

自動車も洋服も数千年の歴史を有する西洋文化つまり相手の土俵で戦ってきています。一方で新しい潮流として東洋文化、特に日本文化への関心が集まっている現象が見られます。現在、欧米で注目されているのが「ジャパンディ」というスタイルです。これは、日本の要素と北欧のデザインを融合させたもので、インテリア業界を中心に大きなブームとなっています。

このブームの背景には、日本人特有の美意識や価値観が、世界で再評価されているという事実があります。下のイラストの様にスカンディナビアン(北欧家具のインテリア)にジャパン(和テイストのアイテム)をアクセントに加えるのがジャパンディ-スタイルとして注目されています。

 

上の写真2枚は北欧家具に和テイストの照明器具を取り入れています。下の写真2枚は北欧家具に畳や靴を脱いでくつろげる内装スタイルです。メディテーション=座禅・瞑想を生活に取り入れたり、健康志向からヨガの人気が高まっている点でも普及が進んでいます。

日本の伝統工芸品を世界へ そのために必要なこと

では、日本の伝統工芸品を世界へ発信していくためには、何が必要なのでしょうか?

日本の伝統工芸品は、長い歴史の中で培われてきた高い技術力と美意識という、世界に誇れる大きな強みを持っています。欧米各国でブームが広がっているジャパンディ-スタイルを意識しながら商品開発を進める事で受け入れられる可能性が高まります。

これらの時流や日本の強みを活かしつつ、海外市場のニーズを捉えたマーケティング戦略やブランディングを展開することで、世界で通用するラグジュアリーブランドを育成することが可能です。西洋諸国に負けないくらいの古い歴史を有する日本、その背景にある歴史や文化、職人技術、それらを顧客へのストーリーとして語ることで、高付加価値のラグジュアリーブランドに成長します。

次回予告

次回は、今回の内容を踏まえ、具体的な事例を紹介しながら、どのように商品開発やブランディングを進めていけば良いのかを解説していきます。

最後に:プレゼント企画のお知らせ

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